会計事務所と子ネコ
高校卒業を控えた年のこと、急に母が「会計事務所に就職したら。手に職があるっていいわよ。」と言い出しました。中卒で、資格も何もない母は、就職先を探すときにいつも苦労してきたそうです。父も職人ですが、一人親方で収入が不安定。母にとっては、父の仕事の手伝いで会う、会計士の方のバリバリした様子を見て、会計士は将来が約束された職業だ、と思ったようです。ただ、当時の私は会計士が何をする人なのか全く分かっておらず、結局は大学に進んでIT企業に就職してしまいました。あのとき母の勧めに従って会計士を目指していたらどうなっていたでしょうか。
何故日本の公認会計士って、会計事務所で働く人が多いんでしょう。私は、公認会計士の人は、会計事務所で働くのが当たり前だと思っていたんですが、実は、調べてみると海外では、企業に所属して、企業の戦略計画等に関わる公認会計士が多いことを知ったのです。何故かと言いますと、日本では公認会計士の資格を持っている人が諸外国に比べてかなり少ないことが挙げられます。また、監査以外の業務で会計士が収入を得ることが制限されているみたいです。
自宅から5分ほど歩いた場所にある会計事務所の前で、小さなネコが死んでいた。大きさからすると、どうやら子ネコのようだ。バイクにでもはねられたのだろうか。ネコ好きの私は、やりきれない思いになった。生きていれば、楽しいこともあったろうに。親ネコは、きっと悲しんでいるに違いない。私は子ネコの亡骸を両腕に抱え上げ、自宅へと引き返した。自宅にある小さな庭に亡骸を埋め、静かに手をあわせると、どこか遠くでニャンという鳴き声が聞こえたような気がした。今は、会計事務所も営業をするようになったようである。最近、ハガキやら電話やらが複数の会計事務所からやってくるようになった。日本の人口が増えない中で、税理士や公認会計士の登録者数は増えているのであるから、パイの奪い合いも、当然と言えば当然のことなのであろう。というよりも、今までが営業をかけなくても商売になったという異常な状態であったのである。そのことに気づかなければ、顧問先が少しずつ減っていくことになると思う。